実践で積み上げた環境保全、資源循環、創エネで進める未来づくり
取り組み内容
かまぼこを製造・販売する鈴廣かまぼこ株式会社は、創業約160年の小田原を代表する老舗企業です。
白身魚のすり身を蒸し上げてつくるかまぼこのほか、焼きもの・揚げ物、珍味・干物、ジャムなど農産物の加工品、おいしい天然水を生かしたビールなど、製品ラインナップは実に多岐にわたり、そうした食品を提供する食事処やカフェ、かまぼこ作り体験ができる博物館など多様な施設を展開しています。
同社を率いる鈴木博晶社長は、子どもの頃に見た地元小田原の風景を振り返り、高度経済成長の時代を経て変わり果てた姿を指摘します。
かつて御幸が浜では木下大サーカスがテントを張って興行するほどに砂浜が広がっていました。ところが酒匂川にダムや取水堰を作った結果、山から海に供給される土砂の量が減り、どんどん砂浜が減少してしまいました。酒匂川も河床が上がって洪水の危険が増しています。
昭和29年頃、小田原は日本一のブリ漁場でした。1年に57万本のブリが水揚げされた記録がありますが、平成21年はわずか290本。この危機的な状況を招いたのは、山の森林が荒廃し、川が堰き止められ、森と川と海の自然の循環が途絶えて多様な生態系が失われたことにあるといいます。「当時の小田原の風景を知っていて、浜で遊んだ原体験がある我々世代が取り組まないといけない」と鈴木社長。資源豊かな住み続けたくなる小田原のために本気です。
自然をこれ以上壊さないために、少しでも元の姿を取り戻すために、鈴廣はさまざまな取り組みを進めています。
新しい資源の循環を生み出すため、かまぼこを作る際にでる魚の皮や骨や内臓、箱根ビールを作るときにでる絞りかすを廃棄することなく活用し、良質な魚肥『うみからだいち』を開発、地元の農家さんに使ってもらっています。魚肥は、安心安全な農作物を育てると同時に、土壌の活力を回復させます。そして雨により土壌の養分が川に流れ込み、再び海に帰っていくという自然の循環を生み出します。鈴廣のレストランで提供する野菜は、魚肥で育った地元のものを使用しています。
また、東日本大震災の経験を経て、エネルギーの地産地消化への取り組みも着々と進んでいます。
レストランや工場など各施設にそれぞれ創エネ設備を導入しています。太陽光発電システム、太陽熱給湯システム、地中熱喚起システム、コージェネレーションシステムの導入により、消費電力を大幅に削減できました。
2015年に建設した本社社屋については、年間を通じて一定の温度を保つ井戸水を熱源として利用しただけでなく、LED照明の導入、光ダクトによる自然採光、調湿コントロールによる省エネ、壁・床・天井の高断熱化など、建築の構造や資材についても徹底的に検証、大幅な消費電力の削減を実現しました。床には小田原産のヒノキ、壁の装飾はスギと、地元の木材をふんだんに使用しています。
この本社社屋は経済産業省が提案する「ゼロ・エネルギー・ビルディング(ZEB)」の承認を受けました。また、神奈川県では平成27(2015)年度、かながわスマートエネルギー計画部門の「かながわ地球環境賞」を受賞しています。
この取り組みは、ゴール7(エネルギーをみんなにそしてクリーンに)のほか、ゴール13(気候変動に具体的な対策を)など多くのSDGsゴールに貢献しています。
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記事作成者:運営事務局
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